ちょっとしたことでカッとなってしまったり、部下や子どもに対して「どうしてちゃんとできないの!」と声を荒らげてしまったりしたことはありませんか? あとから「あんなに怒る必要はなかったのに……」と一人で落ち込んでしまうこと、ありますよね。
世の中には、ティファールの湯沸かし器のようにすぐにカッと怒ってしまう「沸点の低い人」もいれば、どんなときでも穏やかで「めったに怒らない人」もいます。 この2人の違いは、いったいどこから生まれるのでしょうか?
今回は、ある新聞配達店のオーナーさんのお悩みをもとに、仏教の教えから「怒りやすい人と怒りにくい人の決定的な違い」と、心を穏やかに保つためのコツを分かりやすく紐解いていきます。 読むだけで肩の荷がスッと軽くなるヒントが詰まっていますので、ぜひリラックスして読んでみてくださいね。
怒りやすい人と怒りにくい人の「決定的な違い」
反省できている時点で、問題の半分は解決しています!
ある新聞配達店のオーナーさんから、こんなご相談がありました。
「雇っている社員がいい加減で、朝早くに『頭が痛いので休みます』と急に電話してきたりします。イライラしてつい怒鳴ってしまい、これではダメだと反省しています。どんな心がけでいればいいでしょうか?」
新聞配達店のお店を背負っているオーナーさんと社員とでは、責任の重さがまったく違います。 社員が休めばオーナー自身が代わりに配達へ出なければならず、大変さからついつい声を荒らげてしまうお気持ちは本当によく分かります。
でも、ご安心ください。 「怒ってしまってダメだな」と自分で気づいて反省できている時点で、実はその悩みの半分はすでに解決しているのです。
本当に怒りっぽい人は、自分が怒りっぽくて周りに迷惑をかけている自覚がほとんどありません。 人に「あなた怒りっぽいよね」と指摘されると、それに対してまたカッと腹を立ててしまうほどです。 自分の言動を振り返り、「直したい」と悩んでいること自体が、素晴らしい前進なんですよ。
違いは「自分を見ているか、人のせいにしているか」
怒りやすい人と怒りにくい人の違いは、実はとてもシンプルです。
怒りやすい人:相手や外側ばかりに目を向けて、「お前のせいだ」と責める
怒りにくい人:自分自身に目を向けて、自分の行動を振り返る
仏教では、心を静めて自分の心や言動をしっかり見つめ直すことを「禅定(ぜんじょう)」と呼びます。 これは、お釈迦さまが「これを行う人は幸せになれますよ」と教えられた大切な善い行いの一つです。
その反対に、心が散り乱れて外側のことばかりに目を向けている状態を「散乱(さんらん)」と言います。 心が散乱していると、何かが起きたときにすぐ人のせいにしてイライラしてしまうのです。
相手を責める前に「自分ができる工夫」を探してみよう
幼児教育に学ぶ「大人の智恵」
子育ての場面を例に考えてみましょう。 子どもがご飯をこぼしたとき、お母さんが「こぼすなって何度も言ったでしょ!なんでできないの!」と怒ってしまうことがありますよね。
ある幼児教育の本によると、親が子どもを叱る理由の9割は「日常のまったく同じパターンの繰り返し」なのだそうです。 新しい失敗で怒ることはほとんどなく、同じことで毎日怒っては、親も苦しみ、子どもも怯えて萎縮してしまいます。
そんなときは、「なんでできないの!」と子どもを責める前に、大人の頭と智恵で「どうしてこの子はこぼしてしまうんだろう?」と考えてみることが大切です。
あるご家庭でよく観察してみたところ、次のことが分かりました。
使っていた器のふちが、子どもにとって食べにくい形だった
椅子の高さが高すぎて、食べづらそうにしていた
そこで、椅子の高さを調整し、器を食べやすい形に変えてみたところ、子どもはまったくご飯をこぼさなくなったのです。 子どもという「外側」に怒りをぶつけるのではなく、「自分自身に変えられる工夫はないだろうか?」と考えることで、イライラせずに問題を解決することができます。
トヨタの「5 Why」に学ぶ根本原因の見つけ方
これはビジネスの世界でも同じです。 世界的に有名なトヨタ自動車の「5 Why(5回『なぜ』を繰り返す)」という問題解決の考え方があります。 ある職場で、社員のミスによって工場のラインが止まってしまった場面を想像してみてください。
怒りっぽい上司なら、こう怒鳴って終わりにしてしまうかもしれません。 「ぼーっとしてるからだ!みんなに迷惑をかけるな!もっとしっかり仕事しろ!」
しかし、トヨタ流に「なぜその社員はぼーっとしてしまったのか?」を掘り下げていくと、まったく違う景色が見えてきます。
なぜぼーっとしたのか? → 残業が続いていて、過重労働でひどく疲れていたから
なぜ残業が続いたのか? → 現場が人手不足だったから
なぜ本来必要な人数が足りていなかったのか? → 1人欠員が出たまま、対策をとらずに放置していたから
なぜ対策をとっていなかったのか?→ 課長(自分)のマネジメントができていなかったから
このように「なぜ?」を繰り返していくと、社員のミスの根本的な原因は、実は指示していた課長自身のマネジメントにあったと分かります。 ここまで深く物事を見つめ、「自分に改善できることはなかったか」と振り返る姿勢こそが「禅定」です。 これができる人は、感情的に人を責めたり怒鳴ったりすることがなくなります。
怒りの連鎖を断ち切る生き方
怒っている人は、実は自分も苦しんでいる
会社で業績が落ちてくると、ギスギスした空気が広がることがあります。
社長が役員に「お前たち何とかしろ!」と怒る
怒られた役員が、管理職を厳しく叱りつける
管理職が、現場の社員に「お前たちのせいだ」と八つ当たりする
不満がたまった社員のやる気が下がり、ますます業績が落ちる
人は、自分自身がプレッシャーや苦しみを抱えているとき、そのストレスから自分より弱い立場の人へ八つ当たりしてしまいがちです。 家庭でも、夫が職場で怒られてストレスをため、妻に冷たく当たり、その苦しさから妻が子どもをきつく叱ってしまう……という連鎖がよく見られます。
みんなが「お前のせいだ!」と外ばかり責め合っていると、世の中はどんどん生きづらくなってしまいます。
「人のせい」にするのは簡単、だからこそ「回れ右」をする
仏教には、こんな深い言葉があります。
「光に向かって進むものは栄え、闇に向いて走るものは滅ぶ」
闇に向かって「走る」人:「あいつのせいだ!」と外ばかりを責めて怒る状態(散乱)です。人のせいにするのは人間の本性なので、坂道を転げ落ちるように誰でも簡単にできてしまいます。だから「走る」と表現されるのですが、その先には不幸や苦しみしか待っていません。
光に向かって「進む」人:自分の行いを振り返り、自分ができる善い行動へと変えていく状態(禅定)です。強い逆風の中を一歩一歩進むようなもので、決して簡単なことではありません。ですが、そうやって一歩ずつ進む人は、必ず幸せになることができます。
イライラしたときこそ、本性に流されて坂道を転げ落ちるのではなく、ぐっと心を「回れ右」してみませんか? 「自分にできることは何だろう?」と自分の心に目を向けられるかどうかが、人生を好転させる大きな分かれ道になります。
まとめ
怒りっぽい自分を変えるためのポイントを、もう一度おさらいしてみましょう。
怒りやすい人は「人のせい」にし、怒りにくい人は「自分」を振り返る
カッとなったら、相手を責める前に「自分自身が変えられる工夫」を探してみる
人のせいにせず、一歩一歩自分を省みる人(光に向かって進む人)こそが幸せになれる
冒頭の新聞配達店のオーナーさんの場合も、「お前が悪い」と相手を責めるのではなく、 「人を増やすことはできないか」 「営業ノルマを見直せないか」 「上の新聞社に相談できないか」 と、自分の側で変えられる行動(善い種まき)を探していくことで、苦しい状況を少しずつ変えていくことができます。
カッとなりそうな瞬間があったら、ぜひ深呼吸して、「私が工夫できることは何かな?」と心の中で問いかけてみてくださいね。 あなたの毎日が、少しでも穏やかで優しいものになりますように。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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